心の中で拍手を送る

宝くじにでも当たったような、滅多にないのんびりとした休日。
これもまた久し振りにアイちゃんがやってきた。
アイちゃんなどと呼ぶには成長しすぎているのだが、幼いときからの呼び名がまだ残っている高校3年生。
高校に入ってから、全く経験のない体操部に入部し、1年持てばよいだろうと軽く考えていたのだが、3年生になった現在もまだ続いている。
身長は170数センチ、体操をやるには不利な体格。
「一番下手で、なかなかうまくできない」と言いながらも、ここまで続けているのは表彰もの。
小さい時から途中で諦めて放り出す子ではなかったが、今もその信念は変わらぬようだ。
高3の男の子と言えば、あまり大人と話さないというのが世間の相場のようだが、次から次へと話しかけてくる。
小学生のころから大人と話すのが好きだったが、それも相変わらず同じようだ。
大人が敷いたレールの上をただ走るより、七転び八起きしながらも、冷静に自分で考えて選んだ道を歩もうとしているアイちゃんに、心の中で拍手を送る。

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