郷に入っては郷に従え

世間の風潮を見聞きしていて思い出した言葉がある。

『郷に入っては郷に従え』
(ごうにいってはごうにしたがえ)

私が嫁ぐとき、母から言われた言葉である。
母は大正前半生まれ。その母親(私の祖母)は明治生まれ。
代々、嫁ぐ我が娘への教えとして伝えてきたのではないかと思う。
私たち三姉妹は、いずれも長男に嫁いだ。それ故に言われたのだろう。

その当時の私の解釈としては、
嫁ぎ先では、今までとは全く違った生活になるかも知れない。
例え、それらが自分の思っていたこと(価値観)と違っていても、その家・その土地の慣習や風習にあった行動をとりなさい

というようなことだったと思う。

正直、それまでとは全く違った環境に飛び込んだ私は、面食らうことばかりだった。
先ず、年配者が話している言葉(方言)がわからなかった。
まるで外国語を聞いているみたいで、キョトンとしていたらしい姿を笑われた。
食生活も、同じものでも地方あるいは各家庭によって調理の仕方・食べ方が違う。
一事が万事。
早くその家、土地に馴染むよう努力した。

今の時代も、我が娘が嫁ぐときにこのように言う親はいるのだろうか?と、ふと思った。

最近、日本人・外国人関係なく、自分の価値観と合わないもの・事を、無理矢理合わさせようとする意見が飛び交っている。
時代が変われば考え方を変えてみることも大事だが、自分の持っている価値観をいったん横に置いて、何がよりよいカタチであるかを考えてみることも必要ではないだろうか。

『郷に入っては郷に従え』

この言葉にも意味がある。
今一度、この意味を考えてみるのもよいのではないか…。

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