2021/11月のメッセージ [ 聞く力 ]

他者が話す言葉を
ぞんざいに扱っていませんか?
正確に聞いていますか?

*  *  *

先月は「言葉の力」について書いた。

では、「聞く力」というのは何か?

考えてみると、私たちは学校の授業で読むこと、書くこと、話すことは学んできた。
だが、「聞く」ことについては「人の話は静かに聞きなさい」とか「黙って聞きなさい」くらいのことしか言われていなかったように思う。
おそらく学校教育のカリキュラムに、「聞く」という項目は入っていなかったのだろう。

社会人に対しては、どのような話し方が人を引きつけるか、物を上手く売ることができるか、コミュニケーションをよくするための話し方は、など商業ベースの形での話し方教室や書籍はたくさんある。
だが、「聞く力を養う」というような、特別な訓練をする教室はあるのだろうか。

「傾聴」という言葉は盛んに用いられ、職業によっては傾聴のトレーニングをするところもある。
私も実際に、傾聴については学んでもきた。
だが、ただ漫然と聞いていればよいという訳ではない。
相手の言葉(話)を聴いて、それをどれだけ理解できているか、ということになるとなんとも怪しい。
自分ではちゃんと聞いているつもりであっても、後でそれを誰かに伝える段になると、「あれ?何だっけ?」などということもしょっちゅう。
記憶力の欠如だけでなく、聞き違いをしていることもある。
そのことに自分で気付いた時は良いが、それを指摘してくれる人がいないと全く自覚できない。

「話し方講座」の案内をいただくことがあるが、「聞き方講座」の案内をいただいたことは未だにない。
自分のことは棚に上げて敢えて言うなら、「聞く」という技術?・技能?のようなものは、特別な訓練など不要と思っている人が多いのではないだろうか。

他者が語ることをぞんざいに扱わず、正確に聞くことがいかに大切なことであるか。
近頃、特に感じている。

ここまで書いてひと休みのつもりで新聞を手にすると、「聞く力」という大きな文字が目に飛び込んできた。
そう言えば、「私は聞く耳を持っている」と言っている人を思い出した。