2017/8月のメッセージ  [ 不動心 ]

不動心とは
決して揺れ動かない心
のことではなく、
揺れ動き続けない心のこと
 
*  *  *
不動心ということばを聞くと、決してものごとに動じてはいけないとか、揺れ動くことの
ない強い心、精神などと解釈しがちです。
そして、どうしたらそのような心を持てるようになるのだろうか・・・と。
自分に、あるいは目の前で何ごとかが起きたとき、ほんとうに動じない人、心が動かない
人がいるでしょうか。
あるとき、長年、僧職にある知り合いにお訪ねしたことがあります。
「目の前で何か起きたとき、動揺するようなことはありませんか?」と。
すると、「いえ、私も動揺します。ただ、それは一時的なものです。自分が今、何をしな
ければならないかということに意識を向けますので、すぐに落ち着きを取り戻すことがで
きます」とかえってきました。
何が違うのかというと、多くの人は、驚かされたことにのみ意識を向け続けているため、
動揺が長く続いてしまうのです。
確かに、私自身の経験からいっても、このことはよくわかります。
何かで驚かされたり、悔しいこと、悲しいことがあったりしたとき、心が揺れ動いてもよ
いのです。
ただし、それを持続させないことが肝心です。
不動心とは「決して揺れ動かない心のことではなく、揺れ動き続けない心のこと」といっ
てよいのでしょう。