『他を思いやる心』の原点

日本人の心のあり方を考える「薬師寺21世紀まほろば塾」の東京塾が、昨日、日本橋の三越劇場で開催され、瀬戸内寂聴さんが「思いやる心」と題して講演を行ったようすが新聞に載っていた。
天台宗を開いた最澄のことば「忘己利他(もうこりた)」(自分のことを後回しにして、他の人の幸せを優先する)を例に、「相手が何を考えているかを考えることが思いやり」とした上で、想像力を鍛えるには文化に触れることが大切。
本を読んで音楽を聴き、演劇を見て心を磨いてください」と説かれたそうだ。
行ってみたいと思いつつも残念ながら行くことはできなかったが、このことばは亡き父のことを思い出させてくれる。
父は、いつも「自分のことは後回しにして、周りの人のことを先に考える」人だった。
そのために家族が犠牲になることもあった。
だが、私は父の思いを理解することができた。
たぶん、物心つく頃には、その父の思いを理解できていたのだと思う。
いつしか、私は父と同じ道を辿っていることに、否応なく気づかされたのだ。
ひと(他者)の気持ちを考える=他人を思いやる は、ここが原点となっているのだろう。

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