冷たい雨の中で感じた温かい気持ち

午後になってから冷たい雨が降り始めた。
なるべくなら外出は控えたいところだったが、どうしても片付けなければならない用件のため、やむなく外に出た。
前方から、傘をささずにストールを頭から被った姿で歩いてくる人がいる。
すれ違いざまに傘を傾げた。
すると、日本人ではなさそうなその人は、ニコッとして片手を上げた。
「ありがとう!」の気持ちを伝えたかったのかも知れない。
 
通常、歩道は2人並ぶと、追い越すこともすれ違うこともできない。
その歩道を、雨や雪が降っているときに傘をさして歩くと、横幅は1人が精一杯だ。
したがって、傘をさしたときには、すれ違いざまに傘傾げ(かさかしげ)をする。
それが、無意識の習慣となっている。
ところが、最近狭い歩道を歩いていても、滅多に傘を傾げる姿を目にすることはない。
まるで、「そこのけそこのけお馬が通る」のように、平然とすれ違っていく。
そのような光景に慣れてしまっている昨今だが、ほんのちょっとした仕草に気づいて「ありがとう」の気持ちを伝えてくれた外国の人。
冷たい雨の中ではあったが、とても温かい気持ちになった。