2013/5月のメッセージ  [ 自灯明 ]

頼りにする人がいなくなったら

あなたは別の誰かに依存して生きていきますか。

あなたの道(人生)を歩くのは、他の誰でもないあなた自身の足。

そして、その足元を照らすのは、ひかりをまとったあなた自身です。

*     *     *

もしも頼りにする人がいなくなってしまったら・・・
それでも、人は生きていかなければならなりません。
今まで頼りにしていたひかりがなくなった時、どうやって生きていけばよいのでしょう。
そんな時、禅語では「自分が灯明」だということに気づきなさい、と言うそうです。
ちょっと話が変わりますが、信州善光寺のお戒壇巡りが有名です。
お戒壇巡りは、瑠璃壇床下の真っ暗な回廊を巡り、中程に懸かる「極楽の錠前」に触れることで、錠前の真上におられる秘仏の御本尊様と結縁を果たし、往生の際にお迎えに来ていただけるという約束をいただく道場です。
一寸先も見えない真っ暗闇の中を、右壁に手をついて伝い歩きをしていきますが、真っ暗さゆえに初めての人は不安が募り、キャアキャアと大騒ぎをしながら進んでいきます。
2回目・3回目ともなると、錠前に触れるために右壁に手をつきながら歩きはするものの、むしろ落ち着いた気持ちで、自分が灯りを照らしながら歩いているようにさえ思います。
同様に、迷い悩む、まるで真っ暗闇に投げ出されたと思うような道であっても、やがては自灯明となって生きていくことができるのです。
自分が灯明だということに気づけば、もう人のせいにしたり、助けてくれないと恨んだりすることもなくなります。
誰かへの依存心・依頼心がなくなり、自分の足で、自分の人生を歩いていくことができるのです。
あなたが進む道を照らすのは、誰でもない、そのひかりをまとったあなた自身なのです。

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