子どもにかえる

年老いた母親の手を引き、散歩する。
幼子のようにぎゅっと手を握り締め、一歩一歩確認するかのように歩を進める。
短歌、俳句、書道などをたしなみ、言葉もしっかりしてはいるものの、足腰がすっかり弱ってしまうと一人で戸外に出ることが怖いらしい。
エスカレーターに乗るのも怖いらしく、降りたとたんに一層強く手を握り締めてくる。
たまに会う娘への甘えもあるのかも知れないが、子供の手を引くことよりも切なくなる。

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